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人材派遣と業務委託の違いは?特徴からメリット・デメリット、注意点まで

事業拡大に合わせて人手をどのように確保するかは、多くのプロジェクトリーダーの頭を悩ませる課題です。特に、スピード感が求められるプロジェクトにおいては、時間とコストをかけての正社員採用は多くのリスクがともないます。

そこで注目されるのが、「人材派遣」「業務委託」です。「派遣と業務委託は何が違うのか」「本当に必要な人材を確保できるのか」など、疑問を持つ人もいるでしょう。

本記事では、人材派遣と業務委託の違いを、特徴からメリット・デメリット、注意点までわかりやすく解説します。

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人材派遣とは

人材派遣の仕組み

人材派遣とは、派遣会社が派遣社員を雇用し、人員を必要とする企業に、一時的に人材を派遣するサービスです。

派遣先企業は派遣会社と労働者派遣契約を結び、自社が求める期間に必要な人数の派遣社員を受け入れる流れになります。

派遣社員は派遣会社が選定し、派遣先企業は面接などの特定行為は行えません。さらに、有期雇用派遣では3年という派遣期間の制限もあります。

業務委託とは

業務委託とは、企業が外部の企業や個人事業主に対して、業務の全部または一部を依頼し、その完成された成果物に対して報酬を支払う契約形態です。

委託企業と委託先が業務委託契約を結びますが、委託先に対しては、成果物の完成以外に関する内容や業務の進め方への指示を行えない特徴があります。

人材派遣と業務委託の違い

人材派遣と業務委託の違い

人材派遣と業務委託の主な違いは、契約形態や目的、業務指示・管理、責任の所在、契約期間などです。

項目人材派遣業務委託
契約形態派遣会社と派遣社員が雇用契約、派遣会社と派遣先企業が労働者派遣契約を締結委託企業と委託先(個人事業主や企業など)間で、業務委託契約を締結
目的労働力の確保依頼した業務の遂行や納品
業務指示・管理派遣先企業が派遣社員への業務指示を実施委託企業が委託先に対して、業務の依頼や成果物に対する修正依頼のみを実施
責任の所在業務遂行に関わる責任は、派遣先企業も一部負うところがある業務遂行における責任は、委託先にある
契約期間労働者派遣法で定められた期間制限あり(無期雇用派遣などは対象外)当事者間で自由に決定し、期間の定めのない契約も可能

それぞれ詳しく見ていきましょう。

契約形態

人材派遣では、派遣会社と派遣社員が雇用契約を結び、派遣会社と派遣先企業が労働者派遣契約を締結します。

派遣先企業と派遣社員の間にあるのは指揮命令関係のみで、当人同士で何らかの契約が直接交わされることはありません。

一方、業務委託では、委託企業が個人事業主あるいは企業と業務委託契約を締結し、業務を委託します。

人材派遣の雇用形態の種類

人材派遣には以下3つの雇用形態があります。

  • 派遣会社と派遣社員が有期雇用契約を結ぶ「有期雇用派遣(登録型派遣)」
  • 派遣会社と派遣社員が無期雇用契約を結ぶ「無期雇用派遣(常用型派遣)」
  • 派遣先企業との直接雇用を前提とする「紹介予定派遣」

それぞれのメリット・デメリットは、以下のとおりです。

雇用形態メリットデメリット
有期雇用派遣 (登録型派遣)・必要な期間のみ人材確保できる
・採用活動にかかる時間やコストを削減できる
・同一の組織単位で同一の派遣社員を3年を超えてが就業できない
・長期的な視点での育成が困難
無期雇用派遣 (常用型派遣)・スキルをもった人材を確保しやすい
・採用活動にかかる時間やコストを削減できる
・派遣会社に支払う費用が高額になる傾向がある
・長く働くとは限らない
紹介予定派遣・実際に働く様子を見て、採用を判断できる
・採用後のミスマッチを防げる
・受け入れ期間が6ヶ月と短い
・直接雇用が決定しない場合がある
・試用期間を設けられない

それぞれの派遣形態の特徴を理解したうえで、自社のニーズに合った人材活用を進めていくことが重要です。

各雇用形態については、以下の記事で詳しく解説しています。

有期雇用派遣とは?無期雇用との違いやメリット・デメリットを解説

無期雇用派遣とは?正社員との違いやメリット・デメリット

紹介予定派遣とは?仕組みや通常の派遣との違い、注意点を解説

業務委託の契約形態の種類

業務委託は、大きく以下3つに分類されます。

  • 仕事の結果(成果物)に対して報酬を支払う「請負」
  • 法律行為に対して報酬を支払う「委任」
  • 労働(業務)の実施に対して報酬を支払う「準委任」

それぞれのメリット・デメリットは以下のとおりです。

契約形態メリットデメリット
請負・クオリティが担保された成果物を期待できる
・予算管理が容易
・検収基準を明確にする必要がある
・仕様変更時の費用負担が発生する可能性がある
委任・専門家に依頼可能
・手続きの手間を省ける
・委任先の不備は委託企業の責任になる
・報酬が高額になりがち
準委任・成果物が明確ではない仕事を依頼可能
・契約内容を柔軟に設定や変更できる
・クオリティのコントロールが難しい
・契約期間が伸びると報酬が高くなる

請負は、システム開発やデザイン制作など、明確な成果物が存在する業務に適しています。コンサルタントのサポートなど、特定の専門知識やスキルをもつ人材を一定期間活用したい場合には、準委任を選択するとよいでしょう。

どのような業務を外部に委託したいかで契約形態を決めることが重要です。

目的

人材派遣は、急な欠員による業務対応や人材補充、繁忙期への対応など、労働力の確保を目的に活用します。

一方、業務委託の目的は、依頼した業務の遂行や納品です。例えば、専門的な知識やスキルが必要なものの自社に適する人材がいない場合などに、外部の専門家に業務や納品予定物を委託します。

業務指示・管理

人材派遣では、派遣先企業は派遣社員に対して、業務内容、作業手順、勤務時間、勤務場所などを具体的に指示することが可能です。

一方、業務委託は、委託先が自身の裁量と責任において業務を遂行することが前提となっています。

委託企業は委託先に業務の依頼や成果物に対する修正の指示を行えるものの、業務遂行方法やプロセスに関する内容は指示できません。

責任の所在

人材派遣の場合、派遣社員はあくまで派遣会社の従業員という立場ですが、業務指示は派遣先企業が行うため、派遣先企業も業務遂行に関わる責任の一部を負います

特に、労働時間や労働環境の管理を怠ると罰則が科されるため、注意が必要です。

一方、業務委託では、業務遂行における責任は委託先が負います。万が一、納品された成果物に問題があった場合、委託先は修正対応を行う他、損害賠償などの責任を負う可能性もあります。

契約期間

人材派遣の有期雇用派遣では、「同一の事業所で派遣社員を受け入れられる期間は原則3年まで」「同一の派遣社員を同一の組織単位(課やグループ)で受け入れられるのは3年まで」と定められています(3年ルール)。

派遣先企業が同一の派遣社員を3年を超えて受け入れるには、直接雇用に切り替える、派遣会社が当該の派遣社員と無期雇用契約を締結するなどの対応が必要です。

一方、業務委託の場合は、契約期間に関して法律による制限がありません。業務の内容や規模に応じて、数日から数ヶ月、数年単位といったように、自由に契約期間を設定できます。

人材派遣と業務委託それぞれの活用メリット

人材派遣と業務委託のどちらを選択すべきか、より的確な判断をするために、それぞれのメリット・デメリットを知ることが重要です。

それぞれのメリットは、以下のとおりです。

人材派遣業務委託
・必要なタイミングに合わせ人材の確保が可能
・採用活動にかかる時間やコストが削減できる
・指揮命令できる
・高度な専門知識、スキルをもつ人材を迅速に活用できる
・明確な責任範囲があり、成果物を担保できる
・コストが明確化でき、効率的な予算管理を行える

それぞれ解説しますので、自社のニーズに対応できるか判断しましょう。

人材派遣の活用メリット

人材派遣を活用すると、必要なタイミングに合わせ指揮命令で動ける人材を確保できるようになります。採用活動にかかる時間やコストも削減できるでしょう。

それぞれ詳しく解説します。

必要なタイミングに合わせ人材の確保が可能

人材派遣は、必要なタイミングに合わせ人材の確保が可能です。繁忙期や新規プロジェクト立ち上げ時など、一時的に人手不足になるタイミングで、派遣先企業が求めるスキルや経験をもった人材を受け入れられます。

人材派遣を有効活用できるケースの例は、以下のとおりです。

  • 年末年始や決算期など、仕事量が大幅に増加する特定の時期
  • 新規事業立ち上げにおける、社内のリソース不足
  • 産休・育休を取得する社員分の欠員
  • 病気や怪我など、予期せぬ事態での社員の長期的な欠勤

人材派遣は、派遣先企業のさまざまなニーズに対応できる柔軟な人材活用方法といえます。

採用活動にかかる時間やコストが削減できる

派遣先企業が新しい人材を採用する場合、採用活動に多くの時間やコストがかかります。これは、募集広告の出稿、応募書類の選考、面接の実施など、さまざまなプロセスが必要となるためです。

人材派遣は派遣会社が採用活動にともなう業務を代行し、登録者の中から自社のニーズに合った人材を紹介します。これにより、採用活動にかかる時間やコストの負担を軽減しながら、必要な人材を確保できます。

指揮命令できる

人材派遣は派遣先企業と派遣社員が雇用契約にないものの、業務において指揮命令することは可能です。自社の社員と同じように育成できるうえ、密にコミュニケーションが必要となる業務も依頼できるでしょう。

業務委託の場合、個人事業主や企業に対して仕事の依頼をした後、具体的な業務指示や指揮命令は行えません。できることは、あくまで業務の進捗確認や納品物の確認にとどまります。

業務委託の活用メリット

業務委託には、以下のような活用メリットがあります。

  • 高度な専門知識・スキルをもつ人材を迅速に活用できる
  • 明確な責任範囲があり成果物を担保できる
  • コストが明確化でき、効率的な予算管理を行える

詳しく解説しますので、自社に適しているか検討しましょう。

高度な専門知識・スキルをもつ人材を迅速に活用できる

業務委託は、専門知識・スキルをもっている人材に、直接業務を依頼できます

最先端の技術や専門知識をもつ人材の育成は時間がかかるため、社内で育成する場合、競合に後れをとる可能性があります。

業務委託であれば、委託企業はスピーディーな新規事業の開拓、既存事業の効率化を図ることが可能です。

明確な責任範囲があり、成果物担保できる

業務委託契約では、委託する業務内容、納期、成果物などが明確に定められます。これにより、委託先は求められる業務の遂行や質の高い成果物を納品する義務を負います。

万が一、成果物の品質や納期に問題が発生した場合でも、委託企業は契約内容に基づいて、修正依頼など適切な対応をとれるでしょう。

コスト明確化でき、効率的な予算管理を行える

業務委託は、事前に契約で業務範囲と費用が明確に定められるため、予算管理が容易になります。

また、人材採用・育成にかかるコストや、社会保険料などの諸経費も削減できるでしょう。

人材派遣と業務委託それぞれの活用デメリット

人材派遣と業務委託には、それぞれ以下のようなデメリットも存在します。

人材派遣業務委託
・期間制限があり長期雇用が難しい
・業務範囲に制限がある
・手数料が発生する
・委託先の品質管理が難しい場合がある
・機密情報の漏洩リスクへの対策が必要
・コミュニケーション不足によるトラブル発生の可能性がある

それぞれの内容を把握したうえで、どちらを選択するか検討しましょう。

人材派遣の活用デメリット

人材派遣には、期間制限があり長期雇用が難しい、業務範囲に制限がある、手数料が発生するなどのデメリットがあります。

特に、期間制限や業務範囲の制限は、労働者派遣法に定められているルールであり、派遣先企業は遵守しなければなりません。

気づかぬうちに法令違反にならないよう、正しく把握しておきましょう。

期間制限で長期雇用が難しい

派遣社員の受け入れ期間は労働者派遣法で制限が設けられており、同一の派遣社員を同一の組織単位において3年を超えて働かせることはできないとされています(3年ルール)。

そのため、長期的な視点で人材育成を行い、会社にノウハウを蓄積したい場合や、長期的なプロジェクトに参画させたい場合には、人材派遣ではなく直接雇用の検討が必要です。

なお、3年を超えて就労させた場合には、派遣先企業には「労働契約申込みみなし制度」が適用されます。

違法派遣が生じた時点で、派遣社員と派遣会社で締結していた労働条件と同じ内容の労働契約を、派遣先企業が申し込んだとみなされます。

3年ルールについては、以下の記事も参考にしてください。

派遣法の3年ルールとは?企業がとるべき対策と例外ケースについて

業務範囲に制限がある

人材派遣では、法律で禁止されている5つの業務があります

派遣が禁止されている5つの業務

これらに該当する場合、業務委託や直接雇用など人材派遣以外の方法を検討しなければいけません。

手数料が発生する

人材派遣は採用活動にかかるコストが削減できるものの、派遣会社に支払う手数料(マージン)は発生します。

長期的に人材を確保したいときは、コスト面を慎重に検討する必要があります。場合によっては業務委託のほうが良いケースもあるでしょう。

マージンについては、以下の記事で詳しく解説しています。

派遣会社のマージン率とは?内訳や計算式を解説

業務委託の活用デメリット

業務委託には、以下のようなデメリットがあります。

  • 委託先の品質管理が難しい場合がある
  • 機密情報の漏洩リスクへの対策が必要
  • コミュニケーション不足によるトラブル発生の可能性がある

導入時には、こうしたデメリットに、どのように対策するかを考えなければなりません。

委託先の品質管理が難しい場合がある

委託先の選定を誤ると、期待した品質の成果物が得られない場合があります。

委託企業は、業務の進捗や成果物の品質をこまめに確認するなど、委託先に対する適切な管理体制を構築することが重要です。

機密情報の漏洩リスクへの対策が必要

業務委託は外部を利用するため、自社で直接業務を行う場合と比較して、機密情報漏洩のリスクが高まる可能性があります。

そのため、委託企業は機密情報の取り扱いに関する契約条項を設ける、セキュリティ対策を徹底するなど、情報漏洩リスクを最小限に抑えるための対策が必要です。

コミュニケーション不足によるトラブル発生の可能性がある

委託先とのコミュニケーション不足や認識の齟齬が生じると、納期遅延や成果物の品質低下などの問題が発生する可能性があります。

委託企業は定期的な打ち合わせや進捗報告の場を設けるなど、委託先との密なコミュニケーションを図ることが重要です。

人材派遣と業務委託の活用シーン

人材派遣と業務委託の活用シーン

人材派遣と業務委託、それぞれの特徴を踏まえると、最適な活用シーンが見えてきます。

この章では、具体的な業務事例を通して、それぞれの契約形態がどういったケースに適しているのかを解説します。

人材派遣の活用シーン

人材派遣は以下のような活用シーンに適しています。

  • 新規事業立ち上げ時における期間限定のプロジェクトマネージャー(PM)
  • 業務の指示や管理を直接行いたいプロジェクト
  • 会社内でコミュニケーションをとりながら進める必要がある業務

それぞれの活用シーンを解説しますので、具体的なイメージを掴むのに役立ててください。

新規事業立ち上げ時における期間限定のPM

新規事業の立ち上げにおいて、短期間で成果を求められる場合は、専門知識や経験豊富な人材確保が重要です。

人材派遣であれば、必要なときに必要な期間のみ、専門性の高いプロジェクトマネージャー(PM)を確保でき、迅速かつ効率的にプロジェクトを推進できます

例えば、新規事業としてシステム開発を行う場合、専門知識をもつPMを期間限定で派遣会社からアサインすることで、円滑なプロジェクト運用体制を構築できます。

業務の指示や管理を直接行いたいプロジェクト

派遣先企業が派遣社員へ業務指示を行う人材派遣は、業務の進捗や品質管理、企業特有のルールやノウハウを直接指導したい場合に適しています

新規事業の立ち上げ時などは、業務プロセスが確立されていないことが多いでしょう。その場合、状況に合わせて細かな指示や指導ができる派遣社員の活用が有効です。

また、社内システムの操作や顧客対応など、企業独自のルールやノウハウがある業務にも向いています。

企業内でコミュニケーションをとりながら進める必要がある業務

人材派遣は、企業内で他の社員とコミュニケーションをとりながら業務を進める必要がある場合にも有効な手段となります。

例えば、総務や経理、人事といったバックオフィス業務は、会社の円滑な運営を支えるために欠かせないものです。

これらの業務には、社内のさまざまな人とのやり取りが発生するため、コミュニケーション能力が求められます。コミュニケーション能力の高い派遣社員であれば、これらの業務を円滑に進められるでしょう。

業務委託の活用シーン

業務委託は、デザインやライティング、システム開発などのクリエイティブ業務におすすめの方法です。

デザインやライティング、システム開発などのクリエイティブ業務においては、最終的な成果物のクオリティが重視されます。

そのため、成果物に対する責任がはっきりしており、委託先から質の高い成果物の納品を期待しやすい業務委託のほうが向いています。

人材派遣と業務委託の使い分けがおすすめのケース

人材派遣と業者委託の使い分け

人材派遣と業務委託は、業務の性質に応じて使い分けると、効果をより高められます

一般的に、社内での調整や指示が必要な業務には人材派遣が適しています。一方、明確な成果物が求められる専門性の高い業務は、業務委託がより効果的です。

それぞれの特徴を理解し、適切に使い分けると、効率的に人材を活用できます。

システム導入

システム導入は、人材派遣と業務委託を使い分けると、プロジェクトを効率的に進められ、質の高いシステムの構築をよりスピーディーに実現できます。

新規システム導入には、導入計画や初期設定、社内システムとの連携など、社内調整や現場の理解が欠かせない業務が発生します。

プロジェクトマネージャー(PM)やITコンサルタントを人材派遣でまかなうと、スムーズに進められるでしょう。

一方、システム開発や既存システムとの連携をカスタマイズする業務などは、成果物が明確なためシステムエンジニアやSIerに業務委託するのがおすすめです。

マーケティングキャンペーンの企画と運営

マーケティングキャンペーンの企画と運営においても、人材派遣と業務委託を効果的に組み合わせると、より効率的かつ効果的な推進が可能になります。

例えば、社員の密な連携が不可欠であるキャンペーン全体の企画や運営には指揮命令を出せる派遣社員を活用し、的確にこなせればやり方は問わないようなキャンペーンの効果分析のような業務には業務委託の人材に依頼するなどの方法があります。

Webサイトの運営

Webサイト運営も、人材派遣と業務委託を組み合わせやすい業務です。

例えば、コンテンツの更新や管理業務といった業務は、既存の手順通りにこなすこと、イレギュラーな事態が起きたときに監督者の指示のもと迅速に対処することが重要であるため、派遣社員に依頼します。

一方、Webサイト全体のデザイン刷新やシステム開発などについては、業務委託によって個人事業主や企業に依頼すると、質の高い成果物を期待できるでしょう。

人材派遣と業務委託を活用するうえでの注意点

人材派遣と業務委託を効果的に活用するためには、それぞれ注意点を考慮しなければなりません。

各注意点を把握し、導入の際に役立ててください。

人材派遣の注意点

人材派遣を利用するときの注意点は、以下のとおりです。

  • 信頼できる派遣会社選定が重要
  • 業務指示は直接行う
  • 特定の派遣社員の指名はできない
  • 派遣禁止業務がある
  • 可能な受け入れ期間が決まっている
  • 二重派遣に注意

遵守しなければ、法令違反になる可能性があります。それぞれ解説しますので、正しく把握しましょう。

信頼できる派遣会社選定が重要

「労働者派遣事業許可証」が交付されていない事業主から派遣社員を受け入れると、労働者派遣法違反となります。

人材派遣を活用するときには、厚生労働省の「人材サービス総合サイト」を活用し、派遣業の許可を得ているか確認しましょう。

また、対応可能職種や業務、エリアの確認なども重要です。

業務指示は直接行う

派遣社員への業務指示は、自社の社員が直接行う必要があります。

派遣社員に業務内容の判断を促すことはできないため、派遣先企業はあらかじめ依頼内容を明確にし、指揮命令者と共有しておくことが重要です。

特定の派遣社員の指名はできない

派遣先企業は、特定の派遣社員を指名してはいけません。

労働者派遣法において、派遣先企業は労働者派遣契約の締結に際し、派遣社員を特定することを目的とする行為(派遣特定行為)をしないように努めなければならないとされています

派遣先企業は、特定の個人を特定する他、以下のような行為もできません。

  • 面接の実施
  • 履歴書の要求
  • 若年者に限っての依頼など

派遣先企業は派遣会社に人材要件の提示はできますが、派遣社員を選定するのは派遣会社です。

派遣特定行為については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

派遣特定行為とは?禁止の背景や抵触を避けるポイントを解説

派遣禁止業務がある

人材派遣には、以下5つの派遣禁止業務があります。

業務内容概要
建設業務建築物や土木構造物の建設、改修、解体などを行う業務
港湾運送業務港湾における貨物の積み卸し、運搬、保管などを行う業務
警備業務施設やイベント会場などでの警備、交通誘導などを行う業務
病院等での医療関連業務病院や診療所などにおける医師、看護師、薬剤師などの医療従事者の業務
※一部例外あり
「士業」の関連業務弁護士、公認会計士、税理士、司法書士など、専門的な知識や資格を必要とする業務
※一部例外あり

派遣社員を派遣禁止業務に従事させた場合、派遣先企業と派遣会社それぞれに「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」が科されます。違法行為が軽微と判断された場合には、労働局から指導・助言を受けることもあるでしょう。

ただし、これらの業務でも一部例外は認められています。例えば、建設業務では、ソフトウェア開発や事務処理など、建設現場以外で行われる業務です。

また、病院等での医療関連業務では、「紹介予定派遣をする場合」「当該業務が産前産後休業、育児休業、介護休業を取得した労働者の業務の場合」「就業場所がへき地などにある場合」は人材派遣が認められています。

士業の業務についても、一部例外的に派遣活用が認められているものがあります。

派遣禁止業務について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。

派遣の禁止業務とは?禁止理由や罰則、例外業務について解説

可能な受け入れ期間が決まっている

人材派遣は、労働者派遣法によって「派遣先企業の同一の事業所が派遣社員を受け入れられるのは原則3年まで(事業所単位の期間制限)」「同一の派遣社員を派遣先企業の同一の組織単位が受け入れられるのは3年まで(個人単位の期間制限)」と定められています。

事業所単位の期間制限は、同一の事業所で派遣社員を受け入れられるのは原則3年までとするルールです。

ある事業所で2023年10月1日から2026年9月30日までの3年間、派遣社員を受け入れた場合、この事業所では原則2026年10月1日以降、有期雇用派遣社員の受け入れはできません。

ただし、事業所単位の期間制限は、過半数労働組合等の意見聴取を行うと延長できます。

事業所単位の期間制限

一方、個人単位の期間制限は、同一の派遣社員を同一の組織単位で受け入れられるのは3年までとするルールです。組織単位とは、「課」「グループ」などです。

例えば、Aさんが、ある事業所の総務課で2023年10月1日から派遣社員として就業していた場合、2026年10月1日になると同じ総務課で受け入れができなくなります。

営業課など、異なる課で受け入れることは可能です。

個人単位の期間制限

これらの期間制限に達する日はずれる場合もあるため、派遣先企業は受け入れ期間の違いについても明確に把握しておくことが重要です。

期間制限に抵触した日、いわゆる違法となる日は「抵触日」と呼ばれます。詳しくは、以下の記事で解説しています。

抵触日とは?企業に必要な対応を事業所・個人単位で解説

二重派遣に注意

二重派遣になるケース

二重派遣とは、派遣会社と雇用関係にある派遣社員を受け入れた派遣先企業が、その派遣社員をさらに別の企業に再派遣する違法行為です。

派遣先企業と派遣社員には雇用関係がないため、労働者の供給はしてはいけないとされています。関連会社・子会社や取引先などで働かせないよう注意が必要です。

詳しくは、以下の記事もご覧ください。

二重派遣とは?概要から罰則、防止策まで図解付きで解説

業務委託の注意点

業務委託を利用する場合には、準備期間が必要であることを考慮しつつ、信頼できる委託先を選定しましょう。

特徴を理解して正しく運用できると、効率的に質の高い成果物を得られます。

信頼できる委託先選定が重要

自社の業務を外部に委託する業務委託では、情報漏洩を防ぎつつ質の高い成果物を期限までに納品してくれるような、信頼できる委託先の選定が重要です。

情報漏洩リスクに関しては、セキュリティポリシーやISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)、プライバシーマーク取得の有無を確認しましょう。

また、成果物の質に関しては、実績を確認することが重要です。

準備期間が必要

すぐに業務に取りかかれるかどうかは、委託先によります。業務内容によっては、委託先での業務体制や業務フローの構築などに時間が必要な場合もあるでしょう。

問い合わせるときに、期間のすり合わせを行う必要があります。

偽装請負にならないよう注意

偽装請負とは、契約上は請負や委任などとしつつ、実態は派遣である状況のことです。

請負の場合、委託企業と委託先の間に指揮命令関係が生じません。実態として指揮命令してしまうと「偽装請負」となり、罰則や懲役刑が科せられるため注意が必要です。

詳しくは、以下の記事で解説しています。

偽装請負とは?問題点と判断基準、罰則、対策を解説

人材派遣と業務委託に関してよくある質問

人材派遣と業務委託に関しては、さまざまな質問が聞かれます。

この章では、派遣社員を業務委託契約している企業で働かせてもよいか、どう使い分けるのがよいかについて解説します。

派遣社員を業務委託契約している企業で働かせてもよいですか?

派遣先企業が派遣社員を業務委託契約している企業で働かせることは違法ではありませんが、あくまで指揮命令は派遣先企業が行わなければなりません

また、業務委託契約を締結している企業が派遣社員に指示を出さないことも十分に気をつける必要があります。

あらかじめ派遣会社に説明し、状況や業務における注意点を社内でも周知しておくことが重要です。

人材派遣と業務委託はどう使い分けるのがよいですか?

社内での調整や指示が必要な業務には人材派遣、明確な成果物が求められる専門性の高い業務は業務委託の活用がおすすめです。

新規システム導入やマーケティングキャンペーンの企画・運営、Webサイトの運営などでは、組み合わせながら行うと効率的に業務が進むでしょう。

まとめ

人材派遣と業務委託は、外部の人材を活用する点では同じですが、契約形態、業務指示・管理などさまざまな点が異なります。

人材派遣は、派遣会社に雇用される派遣社員を一定期間受け入れ、自社の指揮命令下で働いてもらう方法です。

業務内容や進捗を細かく把握したい場合や、社内コミュニケーションが必要な業務に依頼する場合に適しています

一方、業務委託は、特定の業務を外部の企業や個人に委託する方法です。質の高い成果を期待したい場合や、業務範囲を明確化して管理を効率化したい場合に適しています。

それぞれメリット・デメリットがあり、適したシーンが異なるため、双方の特徴を理解したうえで使い分けることが重要です。

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