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人材確保のために企業がすべきことは?方法や取り組み事例
人材確保とは、企業が事業運営に必要な人材を採用し、定着させるための一連の取り組みです。
少子高齢化による労働力人口の急速な減少や働き方に対する価値観の多様化などにより、日本企業の人材確保は年々困難になっています。企業は自社の状況に応じた人材確保戦略を構築することが重要です。
本記事では、人材確保が難しい理由や現状の課題、人材を確保する主な方法・アイデア、中小企業の取り組み成功事例を解説します。
2026年の採用に向けて、準備できていますか?
求人倍率の上昇、時給相場の高騰——
人手不足はさらに深刻化すると予測されています。
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目次
人材確保が難しい理由と現状の課題
現代の企業にとって、人材確保は重要な経営課題です。
特に日本では、労働力人口の構造的な減少や働き方に対する価値観の多様化、採用チャネルの複雑化と競争激化などの理由により、企業間での人材争奪戦が激しくなっています。
労働力人口の構造的な減少
日本の労働力人口は、少子高齢化の影響により、今後も大幅な減少が見込まれています。
総務省の推計によると、2021年に7,450万人だった生産年齢人口(15~64歳)は、2050年には5,275万人まで減少すると予測されています。これは約30年間で2,000万人以上、率にして約29%もの減少となります。

引用:総務省『生産年齢人口の減少』
この急速な人口減少は、企業の人材確保に以下のような深刻な影響を与えます。
- 採用候補者の絶対数が減少する
- 優秀な人材の獲得競争が激化する
- 採用コストが上昇する
- 地方都市での人材不足が顕著になる
このような構造的な労働力人口の減少により、企業は従来の採用手法だけでは必要な人材を確保することが困難になっており、新たな人材確保戦略の構築が急務となっています。
働き方に対する価値観の多様化
現代の労働者の価値観は大きく変化しており、従来の「正社員・フルタイム・定年まで同一企業」という画一的な働き方に疑問をもつ人が増加しています。
特に若年層を中心に、以下のような価値観の変化が見られます。
- ワークライフバランスの重視
- キャリアの自律的な形成への関心
- 転勤や長時間労働への抵抗感
- 管理職への昇進意欲の低下
また、働く目的も世代により異なり、以下のように多様化が進んでいます。
| 世代 | 働く主な目的 |
| 若年層 | 自己実現、プライベートの充実 |
| 中年層 | 安定性、家族との時間 |
| 高齢層 | やりがい、社会貢献 |
さらに、女性の社会進出が進むなか、育児や介護との両立を求める声も高まっています。
地方移住への関心も強まり、場所にとらわれない働き方へのニーズが拡大しているのが現状です。
このような価値観の多様化により、企業は従業員一人ひとりのニーズに応じた柔軟な働き方の選択肢を提供することが求められています。
画一的な人事制度では、優秀な人材の確保・定着が困難になっており、企業側も対応を迫られています。
採用チャネルの複雑化と競争激化
近年、デジタル技術の発展により採用チャネルは急速に多様化しており、企業はさまざまな選択肢から最適な組み合わせを検討しなければなりません。
主な採用チャネルは、以下のとおりです。
- 求人媒体(求人サイト、求人広告)
- 人材紹介会社
- 企業ホームページ・オウンドメディア
- ダイレクトソーシング
- リファラル採用
- SNS(ソーシャルリクルーティング)
- ハローワーク
この背景には、デジタルネイティブ世代の台頭によるオンラインシフトや、働き方の多様化にともなう求職者ニーズの細分化があります。
企業間の人材獲得競争も激化しており、単一のチャネルに依存するのではなく、複数のチャネルを効果的に組み合わせる「マルチチャネル戦略」が求められています。
各チャネルの特性を理解し、自社の採用ニーズに合わせて最適な組み合わせを見出すことが、採用成功への鍵となるでしょう。
人材流動性の高まり
人材流動性とは、働き手が企業間を移動する活発さを示す言葉です。近年では「メンバーシップ型」から「ジョブ型」へ雇用形態が変化し、専門スキルを持つ人材が柔軟に転職するケースが増えています。
| 雇用形態 | 特徴 | 人材流動性 |
| メンバーシップ型 | 新卒一括採用、さまざまな部署を経験 | 低い |
| ジョブ型 | 専門性のある人材を採用、スキルを活かせる部署に配置 | 高い |
この変化が進む背景には、以下の3つの要因があります。
- デジタル化の進歩:IT技術の発展により、専門スキルを持つ人材の需要が高まっています
- 働き方改革:テレワークやフレックスタイムなど、柔軟な働き方が普及しています
- 経済団体による後押し:社会全体で人材の流動化を促進する動きが加速しています
人材流動性が高まることで、企業は必要なスキルを持つ人材を迅速に確保しやすくなる一方、優秀な社員が他社へ転職するリスクも高まります。そのため、成果に応じた評価制度の導入や、社員のスキルアップ支援など、人材を定着させる取り組みも同時に求められています。
企業が人材確保を成功させるためには、この流動化の傾向を理解し、採用戦略や組織づくりに反映させることが重要です。
求職者優位の売り手市場の継続
2026年の採用市場も引き続き「売り手市場」が続くと見込まれています。企業側が求人を出しても、十分な応募者が集まりにくい状況が継続するため、人材確保はますます困難になるでしょう。
特に以下の業界では、求人数に対して応募者が不足する傾向が強まっています。
- 情報技術・通信
- 経営戦略コンサルティング
- 人材紹介サービス
- 建設・不動産関連
また、地域別の採用倍率にも差があり、首都圏が最も高い水準となっています。以下は2024年11月時点の地域別採用倍率の目安です。
| 地域 | 採用倍率(目安) |
| 首都圏 | 約3.6倍 |
| 中部圏 | 約2.5〜3.0倍 |
| 関西圏 | 約2.0〜2.5倍 |
このように、求職者が複数の選択肢を持てる環境が続いているため、企業は給与面だけでなく、福利厚生の充実や柔軟な働き方の導入など、多角的な魅力づくりが求められます。
売り手市場が継続する背景には、少子高齢化による労働人口の減少があります。今後も構造的な人手不足は解消されにくいため、企業は採用戦略の抜本的な見直しを迫られるでしょう。他社との差別化を図り、求職者から「選ばれる企業」になることが、人材確保の成否を左右します。
人材確保の主な手法

人材確保には、主に以下の方法があります。
- 正社員採用
- パート・アルバイト採用
- 業務委託
- 人材派遣
比較検討のために、各手法の特徴を理解しましょう。
正社員採用
正社員採用は、企業の中核人材を確保する最も重要な手段です。
新卒採用は将来の幹部候補を確保でき、組織の活性化や企業文化の継承にもつながります。
一方、中途採用は即戦力の確保が可能で、専門的スキルをもつ人材の獲得により、環境変化への迅速な対応が期待できます。
正社員採用のメリット・デメリットは、以下のとおりです。
| メリット | デメリット |
| ・長期的な人材育成が可能 ・企業への帰属意識が高い ・安定した労働力を確保できる ・社内ノウハウが蓄積できる | ・採用コストが高い ・雇用の柔軟性が低い ・人件費が固定費化する ・ミスマッチ時のリスクが大きい |
これらの特徴から、正社員採用は特に以下のような企業におすすめです。
- 長期的な事業成長を目指している
- 専門性の高い業務を行う
- 顧客との信頼関係が重要
- 企業文化や理念の浸透を重視している
- 機密情報を扱っている
正社員採用を成功させるためには、自社に必要な人材像を明確にし、経営戦略と人材戦略を一体的に考えることが重要です。
パート・アルバイト採用
パート・アルバイト採用は、多くの企業において柔軟な労働力を確保する重要な手段です。
主なメリット・デメリットは、以下のとおりです。
| メリット | デメリット |
| ・必要な時間帯や曜日に限定して人材を確保できる ・人件費を抑えながら業務の繁忙期に対応可能 ・正社員採用に比べて採用プロセスが簡略化できる ・多様な人材(学生、主婦層など)の活用が可能 | ・定着率が低く、頻繁な採用活動が必要 ・教育コストが継続的に発生する ・シフト管理が複雑になりやすい ・スキルの蓄積や継承が困難 |
パート・アルバイト採用は、以下のような企業におすすめといえます。
- 業務の繁閑差が大きい
- 特定の時間帯・曜日に人手が必要
- 短期的なプロジェクトや季節的な需要に対応したい
- 多様な働き方を提供して企業イメージを向上させたい
効果的な採用を行うためには、ターゲット層のニーズを理解することが重要です。
学生層は「時給の高さ」「生活時間に合わせた勤務」を重視し、主婦層は「自宅からの近さ」「家事・育児との両立」を求める傾向があります。こうした特性を踏まえた採用戦略の構築が、人材確保の成功につながります。
業務委託
業務委託は、企業が外部の専門家やフリーランスに特定の業務を依頼する採用形態です。
正社員採用とは異なり、プロジェクト単位や期間限定で人材を確保でき、必要な時期に必要なスキルをもつ人材を活用できます。
主なメリット・デメリットは、以下のとおりです。
| メリット | デメリット |
| ・福利厚生や社会保険料が不要でコストが削減できる ・専門性をうまく活用できる ・柔軟な対応が可能 | ・労働時間や勤務形態の管理が困難 ・ノウハウが社内に蓄積されない ・企業側から指揮命令はできない |
業務委託は、以下の企業におすすめです。
- 専門性の高い業務が一時的に必要
- プロジェクトベースで事業を展開している
- 繁忙期と閑散期の差が大きい
- 社内にない専門知識やスキルが必要
- 固定費を抑えながら事業拡大を図りたい
- スタートアップや新規事業の立ち上げ段階にある
業務委託を成功させるためには、契約時に業務範囲や成果物、納期などを明確に定めることが重要です。
適切な報酬設定により優秀な人材を確保し、定期的なコミュニケーションを通じてプロジェクトの進捗管理を行うと、期待する成果を得やすくなります。
以下の記事もあわせて参考にしてください。
人材派遣
人材派遣は、派遣会社に雇用された派遣社員が、派遣先企業で就業する雇用形態です。
主なメリット・デメリットは、以下のとおりです。
| メリット | デメリット |
| ・求める経験やスキルをもつ人材を迅速に確保できる ・必要な期間だけ柔軟に人員調整できる ・採用活動や労務管理の手間、コストを削減できる ・社会保険手続きや給与計算は派遣会社が対応 | ・派遣期間に制限がある(3年ルール)※ただし、過半数労働組合等への意見聴取など、適切な手続きを行えば延長も可能。また、無期雇用派遣であれば期間制限はない。 ・直接雇用に比べて人件費が割高になる場合がある ・企業文化の浸透や帰属意識の醸成が難しい ・労働者派遣契約により業務内容に制限がある ・派遣先企業は派遣社員の面接や選考ができない(派遣特定行為の禁止) ・派遣禁止業務がある |
働き方の価値観が多様化するなか 、フルタイム勤務は難しいものの、高い専門スキルをもつ優秀な人材は市場に多く存在します。人材派遣は、こうした人材を柔軟に活用するための極めて有効な手段です。
人材派遣は、特に以下のような企業におすすめです。
- 急な欠員や産休・育休の代替要員が必要
- 繁忙期と閑散期の差が大きく、柔軟な人員調整をしたい
- 新規プロジェクトや期間限定の業務で専門スキルをもつ人材が必要
- IT・エンジニア・経理など専門性の高い人材を短期間で確保したい
- 採用コストを抑えながら即戦力を確保したい
新規事業の立ち上げなど、即戦力となる専門人材が急に必要になった場合、正社員採用では時間がかかります。人材派遣であれば、自社で採用活動を行うより速やかに求めるスキルをもつ人材を確保できるでしょう。
急な欠員補充や繁忙期対応など、一時的に人材が必要な場面でも、有効な手段となります。
一般的な派遣だけでなく、近年は専門スキルを持ったプロフェッショナル派遣も増えています。 一見すると、時給は高く見えますが、採用費・教育費・賞与・社会保険料などがかからない上、即戦力が来るため教育の手間も不要です。
必要なスキルを、必要な期間だけ活用することで、正社員を採用するよりもトータルコストを大幅に抑えられるケースも多くあります。
ビースタイルスマートキャリアでは、『時短×ハイキャリア』というコンセプトのもと、高い専門性をもちながら柔軟な働き方を希望するプロフェッショナル人材の活用支援に強みをもっています。企業の成長に必要な多様な人材の確保については、ぜひビースタイルスマートキャリアにご相談ください。
2026年の採用に向けて、準備できていますか?
求人倍率の上昇、時給相場の高騰——
人手不足はさらに深刻化すると予測されています。
後手に回らないために、今から市場トレンドを把握しておきませんか?
職種別の適正時給など2026年の市場予測データをまとめた資料を無料でお届けします。
中長期で取り組みたい人材確保のアプローチ
人材確保を実現するためには、採用から定着まで総合的なアプローチが必要です。
採用ターゲットの見直し
人材確保を成功させるためには、採用ターゲットを明確にすることが欠かせません。採用ターゲットとは、自社が求める人材像を具体的に定義したものです。
採用ターゲットを見直すことで、適切な採用媒体の選定や、求職者に響く求人情報の作成が可能になります。
見直す際には、以下の4つのステップを意識しましょう。
- 採用計画の策定:採用の目的(事業拡大・欠員補充・年齢構成の調整など)を明確にし、新卒・中途・アルバイトなど採用区分を決定します。
- 採用競合と自社の分析・比較:競合他社と比較しながら、自社の強みや魅力を整理します。
- 採用ターゲットの細分化:職種・ポジション・スキル・経験年数などを具体的に設定します。
- 現場社員とのすり合わせ:配属予定部署の社員と採用ペルソナ(より詳細な人物像)を共有し、認識のズレを防ぎます。
| 採用区分 | 特徴 | 主なメリット |
| 新卒採用 | 未経験者・ポテンシャル重視 | 企業文化が浸透しやすい |
| 中途採用 | 経験者・即戦力 | 教育コストを削減できる |
| アルバイト採用 | 幅広い層・柔軟な雇用形態 | 業務や時間を限定して採用できる |
採用ターゲットを絞り込みすぎると対象者がいなくなるリスクがあるため、柔軟性を持たせることも大切です。定期的に見直しを行い、市場や自社の状況に合った採用活動を進めていきましょう。
新しい採用アプローチ方法の導入
従来の転職・就職サイトやハローワークだけでなく、最近では多様な採用手法が登場しています。自社に合った新しいアプローチを取り入れることで、より効率的に優秀な人材へリーチできるようになります。以下に代表的な新しい採用手法をまとめました。
| 採用手法 | 特徴 |
| ダイレクトリクルーティング | 企業が人材データベースやSNSを通じて直接アプローチする方法。自社が求める人材を狙って採用できます。 |
| ソーシャルリクルーティング | 自社SNSアカウントを活用し、求職者との接点を増やす手法。知名度向上にもつながります。 |
| リファラル採用 | 自社の従業員から友人・知人を紹介してもらう方法。採用コストが低く、ミスマッチが起こりにくいです。 |
| アルムナイ採用 | 過去に退職した人材を再度採用する手法。即戦力として活躍が期待できます。 |
| ミートアップ | 求職者を社内見学や従業員との交流に招き、志望度を高める方法。オンライン開催も増えています。 |
これらの手法を導入する際は、以下のポイントを意識しましょう。
- 自社の採用ターゲットに合った手法を選ぶ
- 複数の手法を組み合わせて効果を最大化する
- 運用体制やノウハウを社内で整備する
新しい採用アプローチを積極的に取り入れることで、競合他社との差別化が図れ、求める人材との出会いの機会を広げることができます。
企業文化や働く魅力の発信
採用市場が激化している現代では、求職者に自社の魅力を伝えることが人材確保の鍵となります。競合他社との差別化を図るためには、自社独自の強みを明確にし、それを具体的な言葉で発信することが重要です。
企業文化や働く魅力を発信する際のポイントは、以下の通りです。
・抽象的な表現を避け、具体的な数値や事例を盛り込む
・社員の実体験やエピソードを活用してリアルに伝える
・求職者の視点に立ち、不安を解消できる情報を提供する
例えば、「成長できる環境があります」という抽象的な表現ではなく、「入社3年以内の社員のうち70%がリーダー職に昇格しています」といった具体的なデータを示すと説得力が増します。
以下の表は、効果的な発信例をまとめたものです。
| 発信内容 | 抽象的な表現(NG) | 具体的な表現(OK) |
| 成長機会 | 成長できる環境があります | 入社5年間で3部署を経験できるジョブローテーション制度を導入しています |
| 働きやすさ | 社員を大切にする会社です | 有給休暇取得率90%以上、リモートワーク制度を完備しています |
| やりがい | やりがいのある仕事ができます | 20代社員の提案が新サービスとして採用され、売上20%増加に貢献しました |
また、採用サイトやSNS、動画コンテンツなど複数のチャネルを活用し、一貫したメッセージを発信することも効果的です。社員インタビューや職場の雰囲気が伝わる写真・動画を掲載することで、求職者が入社後の姿をイメージしやすくなります。
人材が定着する組織づくりのポイント
優秀な人材を確保しても、短期間で離職されてしまっては採用・教育コストの回収が困難になります。人材が定着する組織をつくるためには、以下の5つのポイントを意識することが重要です。
| ポイント | 概要 |
| ミッション・ビジョン・バリューの浸透 | 企業の目指す方向性や価値観を全社員に共有し、共感を得ることで帰属意識を高めます。 |
| 働きやすさへの投資 | 柔軟な働き方の導入や職場環境の改善など、従業員が安心して働ける基盤を整備します。 |
| インクルージョンの担保 | 多様なバックグラウンドを持つ従業員が活躍できる風土をつくり、誰もが尊重される環境を実現します。 |
| やりがいに火をつける | 成長機会の提供や適切なフィードバックを通じて、従業員のモチベーションを高めます。 |
| 職場カルチャーの明確化 | 組織として大切にする行動規範や雰囲気を言語化し、採用時から一貫して発信します。 |
これらの施策は単独で機能するものではなく、相互に連携させることで効果を発揮します。特に、企業理念への共感と働きやすさの両立が図られると、従業員は長期的なキャリア形成をイメージしやすくなり、定着率の向上につながります。
人材の流動性が高まる現代において、組織づくりの視点から定着施策に取り組むことが、持続的な成長の鍵となるでしょう。
中小企業における人材確保の取り組み成功事例
中小企業が直面する人材確保の課題は深刻ですが、全国各地で独自の工夫により成功を収めている事例があります。
厚生労働省がまとめた「地域で活躍する中小企業の採用と定着成功事例集」では、業種別に特徴的な取り組みが紹介されています。
事例から、自社の状況に応じた実践的な施策のヒントを得ましょう。
建設業A社
建設業A社は、求人を出しても人材が集まらず、特に若手技術者の不足に悩んでいました。同社の売上の多くを占める公共工事の入札では、「週休2日での工事の実施実績」「女性技術者の配置」が評価項目となったため、事業受注の観点からも休日確保や女性登用が急務となりました。
そこで同社は、以下のようにトップダウンで業務のデジタル化を推進しています。
| 対象 | デジタル化による効果 |
| バックオフィス | クラウド系アプリを導入し、経費支払い事務を削減 |
| 現場 | 受発注者間で工事情報を共有できるアプリを活用し、情報共有を効率化 |
また、採用方針も大きく転換しました。
専門知識を問わず未経験者を採用して入社後に育成する体制を構築するとともに、従業員向けのYouTubeチャンネルを開設し、本社と現場が一体となって教育に注力しました。
女性従業員の採用にも積極的に取り組み、子育て中の従業員を対象とした時短勤務制度を導入しています。業務効率化により、柔軟な働き方が可能となりました。
取り組み後には、取得できる休日が増え、3年間で10~30代の9名を採用できています。うち2名が女性、6名は土木科以外を卒業した人材であり、さまざまな学歴や経歴をもつ多様な人材を確保できました。
【ここがポイント】
「未経験採用 × 動画マニュアル」 専門性が高い業種でも、教育体制を動画などでマニュアル化・標準化することで、採用の間口を広げ、早期戦力化が可能になります。
製造業B社
製造業B社は、従業員の高齢化が進み、中長期的な事業継続が危ぶまれていました。10年後を見越して幹部候補となる人材の採用を決意しましたが、求人を出しても反応はなかったそうです。
そこで同社は、大学生の就業体験事業の一環で学生を受け入れることにしました。学生は得意分野を活かしながら、以下のような業務を体験しました。
- 社内報の作成
- 工場の掲示物作成
- めっきの成分分析
- 製造業務の体験
これらの活動を通じて、学生は同社の事業に対する理解を深められました。
一方で、現場では学生の活躍が社内のコミュニケーション活性化に寄与し、従業員のモチベーション向上や離職防止につながりました。
また、同社ではメールマガジンで社内情報を定期的に発信しており、部署を超えた相互理解を促進しています。各種検定試験に合格した従業員を取り上げることで、資格取得への意欲向上にも貢献しました。
その結果、就業体験を行った学生全員が、職場環境と自身の得意分野を活かせることに魅力を感じ、正社員として入社を希望しました。若い従業員の存在により、工場見学に訪れる学生の反応も良好となり、その後の採用活動も成功しています。
同社は合同説明会や高校・大学の就職支援も積極的に活用し、5年間で集中的に人材を採用しました。現在では、その中の5人が課長職に就いており、次世代の経営幹部として活躍しています。
【ここがポイント】
採用直結型インターンの活用 選考前に「職場体験」を取り入れることで、入社後のギャップを減らし、定着率を高める有効な手段です。
情報通信業C社
情報通信業C社は、請負事業形態による長時間労働が原因で従業員が疲弊し、退職による人材不足に陥っていました。そこで、顧客と直接契約する事業運営を目指し、新規事業を立ち上げました。
具体的には、Webサイト制作を開始し、その6年後からは経営の長期安定化のために、別企業と直接パートナー契約を締結し、安定的なサービス提供を可能にするニアショア開発に参入しています。
収益性が高い事業活動への転換と時間外労働を削減する働き方改革を同時に実現するとともに、採用方法を工夫して多様な人材の確保に取り組みました。
採用面では、未経験者である地元の大学・専門学校の新卒をメインに採用活動を行っています。インターンシップも積極的に開催し、入社後のミスマッチを防ぐため、最終選考で数日間の職場体験を実施しました。
また、アスリート採用とUIJターン採用(地方出身者が都市圏で就職・進学後、再び地方に戻って就職するUターン、都市圏出身者が地方で就職するIターン、地方出身者が都市圏で就職後に故郷に近い地方都市で就職するJターンをまとめて指す採用手法)を導入し、職場に多様性を生み、新しい事業の開発や顧客開拓、働き方の見直しにつなげています。
結果、自分たちが受注量や仕事を選ぶ立場になることで働き方の調整が可能になり、利益率も上がりました。課題だった残業時間の削減にも成功し、平均時間外労働時間は1人あたり月9.5時間にまで削減しました。
働きやすい環境が、離職率の低下と毎年の新規採用につながっているそうです。
【ここがポイント】
「ターゲットの拡大と働き方の柔軟性」 スキル要件だけでなく働きたい場所(UIJターン)やライフスタイル(競技生活)に寄り添うことで、競合他社と取り合いにならない層を獲得できます。
医療介護業D社
医療介護業D社は人手不足に悩んでいましたが、離職原因を徹底的に分析したところ、「腰痛」「長時間労働(残業)」「メンタル不調」の3つが主要な離職要因であると突き止めました。
そこで、これらの課題に対して以下の取り組みを実施しました。
| 主な離職要因 | 実施した取り組み |
| 腰痛 | 持ち上げない介護「ノーリフティング」を目指し、リフトなどの福祉機器を積極的に導入。経営陣は導入後も現場の実情を常に把握し、制度や技術の最新動向を追い続けた |
| 長時間労働(残業) | データ分析により残業につながる業務を特定し、作業をマニュアル化。残業者の固定化を解消し、全体の作業効率を向上 |
| メンタル不調 | 社内で面談制度「トーキング」を導入。月1回、全従業員と10分間の一対一面談を実施し、人間関係の悪化防止と問題の早期発見に努めた |
これらの取り組みの結果、離職率は3~5%まで低下しました。60歳以上の従業員も全体の2割以上を占めるようになり、幅広い年代が活躍する職場となりました。
さらに、取り組みの積極的な発信により働きやすい介護現場としての認知度が高まり、新たな人材獲得にも成功しています。
人材確保に関してよくある質問
人材確保に関してよくある質問として、多くの経営者から寄せられる3つの質問に回答します。疑問や不安の解消にお役立てください。
なぜ人材確保は難しいのですか?
人材確保が難しいとされるのは、労働力人口が減少しているうえ、働き方に対する価値観の多様化が見られているためです。また、採用チャネルの複雑化と競争激化も関与しているといわれています。
人材確保の方法には何がありますか?
人材確保の方法には、正社員やパート・アルバイトの採用、業務委託、人材派遣の活用があります。
また、企業内で取り組めるアイデアとしては、採用管理の改善、定着管理の強化、就労条件の整備、理念・価値観の浸透が挙げられます。
人材確保に活用できる補助金はありますか?
厚生労働省の「人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)」「介護人材確保・職場環境改善等事業の補助金」があります。
| 補助金・助成金制度 | 人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース) | 介護人材確保・職場環境改善等事業の補助金 |
| 概要 | 離職率の低下に対し、雇用管理制度(賃金規定制度、諸手当等制度、人事評価制度、職場活性化制度、健康づくり制度)または業務負担軽減機器など(従業員の直接的な作業負担を軽減する機器・設備等)の導入による雇用管理改善に対する取り組みを支援 | 介護職員などの人件費(一時金等)改善や職場環境改善(介護助手を募集するための経費、研修費等)の取り組みを支援 |
| 補助金・助成金額 | ・雇用管理制度:25万~50万円 ・雇用環境整備:対象経費の50~62.5% | 1ヶ月あたりの介護総報酬 × サービス累計別交付率 |
これらの補助金・助成金を活用すると、人材確保に関する財務的な負担を軽減できます。
申請要件や手続きの詳細については、各制度の公式Webサイトで最新情報を確認し、自社の状況に合った制度を選択しましょう。
まとめ
人材を確保するには、正社員採用、パート・アルバイト採用、業務委託、人材派遣といった方法があります。
また、長期的な人材確保を実現するためには、採用から定着まで総合的なアプローチが必要です。
人材確保は一朝一夕に解決できる課題ではありませんが、自社に最適な施策を見つけ、継続的に取り組んでいくことが成功への第一歩となるでしょう。
2026年の採用に向けて、準備できていますか?
求人倍率の上昇、時給相場の高騰——
人手不足はさらに深刻化すると予測されています。
後手に回らないために、今から市場トレンドを把握しておきませんか?
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