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派遣の職場見学の流れは?聞いてはいけないことや注意点も解説

人材派遣では、派遣社員と派遣先企業のミスマッチを防ぐために、派遣社員の希望のもと「職場見学」が行われることがあります。

職場見学とは、就業を検討している派遣社員に自社を見学してもらう取り組みです。「派遣社員にしてはいけない質問」があるなど、派遣先企業が守るべきルールが多くあります。

本記事では、職場見学の目的や当日の流れ、派遣先企業が注意したいポイントを解説します。

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職場見学とは?

職場見学とは、就業を検討している派遣社員が、派遣先企業の職場環境や業務内容を直接確認する機会のことです。派遣社員が希望した場合に、就業前に実施するもので「業務確認」とも呼ばれます。

あくまで派遣社員の希望によって行われるため、必ず行わなければならないものではありません。とはいえ、派遣先企業は職場見学についての理解を深めておかないと、実施中に知らず知らずのうちに法律に抵触する言動をしてしまうリスクがあります。

それを避けるために、まずは職場見学の目的と採用面接の違いを把握しましょう。

職場見学の目的

職場見学の目的は、派遣社員の不安の解消です。

職場見学では、派遣社員を自社に招き、実際に働く場所の紹介と業務内容の詳しい説明をします。

派遣社員からの質問にも回答するため、派遣前に職場の雰囲気や業務内容などの理解を深められ、派遣後にスムーズに就業できるようになります。

職場見学のメリット

派遣先企業にとっても、職場見学を通じて、派遣社員に業務内容や職場環境をより具体的に伝えられるメリットがあります。

受け入れの準備がスムーズに進みやすくなるでしょう。

職場見学と採用面接の違い

職場見学は就業前に労働者と直接会い、業務に関するコミュニケーションを取るため採用面接と混同されがちですが、まったくの別物です。

主な違い職場見学採用面接
目的就業前の不安の軽減応募者の評価と採用の判断
実施の決定権就業を希望している派遣社員労働者を募集している企業

職場見学は、派遣社員の採用可否を判断するものではありません。派遣社員に職場環境や業務内容を自分の目で見て確認してもらい、不安を軽減するために行われます。

一方、採用面接は、企業側が応募者のスキル、経験、適性などを評価し、採用を判断するために行われます。

人材派遣における採用面接は派遣会社が行うもので、派遣先企業は行えません。派遣先企業が採用面接に関与してしまうと、特定目的行為(派遣特定行為)に該当してしまう恐れがあります。

職場見学当日の流れ

職場見学当日の流れ

派遣社員から職場見学の希望があったら、まず派遣先企業と派遣会社で事前打ち合わせを行います。事前打ち合わせの主な内容は、以下のとおりです。

  • 予定開始時間
  • 実施場所
  • 連絡先の共有・確認
  • 想定している見学時間
  • 職場見学に同席する人
  • 当日の流れ
  • 注意事項など

職場見学当日は、派遣社員が安心して就業を検討できるよう、スムーズな案内を心がけることが大切です。当日の一般的な所要時間は30分〜1時間ほどです。

この章では、当日の流れ、受け入れ決定までの具体的なステップを解説します。どんな準備が必要になるか見ていきましょう。

業務内容に関する説明

職場見学では、派遣社員が具体的な仕事内容をイメージできるよう、まず担当業務や所属部署、1日の流れなどについて説明します。

例えば、営業事務であれば、以下のようなイメージです。

説明項目説明内容例
組織の紹介わが社は、自社製品やサービスを販売している企業です。主な顧客層は、飲食店を経営する方になります。
担当業務主に営業担当者のサポート業務をお願いします。具体的には、電話対応、来客対応、データ入力、ファイリング、資料作成(Excel、Word、PowerPointを使用)、会議の準備、議事録作成などです。その他、庶務業務をお願いする場合もあります。
所属部署配属先は営業部になります。営業部は現在、○○名で構成されており、活気のある職場です。
派遣先責任者
指揮命令者
あなたの直属の上司は、営業部署の○○の役職をもつ○○さんになります。日々の業務に関する指示や相談など困ったことがありましたら、○○さんに聞いていただければと思います。
1日の流れ1日の大まかな流れは以下のとおりです。 ・9:00~10:00 メールチェック、電話対応
・10:00~12:00 データ入力、資料作成
・12:00~13:00 昼休憩
・13:00~17:00 会議準備、ファイリング
・17:00~18:00 電話対応、翌日の準備 就業時間内に業務が完了しない場合は、残業の可能性があります。
業務で使用するツール業務で使用するツールは、主に電話、FAX、PC(Excel、Word、PowerPoint、メールソフトなど)、社内システム、コピー機、プリンター、シュレッダーなどです。
残業の有無月平均20時間程度発生します。

上記はあくまで一例であり、職種や就業先によって説明内容は異なります。

重要なのは、派遣社員が疑問や不安を解消し、安心して就業を検討できるよう、具体的かつわかりやすく説明することです。業務の指揮命令者と挨拶できるよう調整しておくと、派遣社員の安心につながる可能性があります。

オフィス案内

業務内容を伝えたら、実際に派遣社員が働くことになる執務スペースを案内し、社内の雰囲気を感じてもらいましょう

社員食堂や休憩室、更衣室、トイレなど、就業中に使用する共用スペースもあわせて案内します。

事前にデスク周りの整理整頓を行うなど、案内する箇所をできるだけ清潔にしておくと好印象を与えられます。

派遣先企業から派遣社員への質問

業務内容の説明やオフィスの案内を終えたら、派遣社員と派遣先企業で質疑応答の時間に移ります。

派遣先企業は、ここで派遣社員に対して、入社後のミスマッチを防ぐための質問をしましょう。例えば、担当業務はすぐに取りかかれそうな内容か、職場環境で不安な点はないかなどが挙げられます。

矢継ぎ早に質問をすると、派遣社員が質問しにくくなるためペース配分には注意が必要です。

なお、このとき「面接にあたる質問」すると、特定目的行為とみなされる可能性があるため、十分に留意しなければいけません。

派遣社員から派遣先企業への質問

職場見学では、派遣社員からの質問を受ける時間も設けましょう。

どんな質問をされるのか事前に把握し、回答を準備しておくとスムーズです。

派遣社員からよくある質問例

派遣社員からよくある質問としては、以下のようなものがあります。

派遣社員からよくある質問
・職場の雰囲気はどんな感じですか?
・繁忙期はいつになりますか?
・就業前にやっておいたほうが良い勉強や準備はありますか?
・就業前に行う研修の内容について教えてください
・御社で活躍している社員の特徴を教えてください

上記以外にも質問される可能性はありますので、派遣社員の立場に立ち、他に気になりそうなところはないか十分に検討しましょう。

受け入れ決定

職場見学後に、派遣会社が派遣社員に対して、就業の意志を確認するヒアリングを実施します。

派遣社員から就業希望の申し出があったら、派遣会社が派遣先企業にその旨を連絡し、受け入れ決定となります。

派遣社員の受け入れに関しては、以下の記事も参考にしてください。

職場見学で聞いてはいけないことは?NG質問例

職場見学で聞いてはいけないことは、以下のような内容です。

聞いてはいけないことNG質問例
業務遂行能力に関係のない質問・これまで働いてきた会社はどちらでしょうか?
・退職された理由は何でしょうか?
・派遣先は数多くあると思いますが、弊社での就業を希望された理由を教えてください
・派遣社員として働こうと思った理由は何でしょうか?
・将来は正社員を希望されているのですか?
個人情報に関する質問・弊社は20~30代が中心ですが、馴染めそうでしょうか?年齢はおいくつですか?
・繁忙期になると退勤時間が遅くなることがあります。ご自宅はどちらでしょうか?
・ご結婚されていますか?またはそのご予定はありますか?
・ご家族に転勤のご予定がありましたら教えてください
・世帯年収はどのくらいですか?
・最終学歴を教えてください

何気なく聞いた内容でも、聞いてはいけない質問に該当する可能性があります。具体的な相談をしたい場合には、ぜひ弊社にお問い合わせください。

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職場見学でやってはいけない5つのこと

職場見学における注意点

職場見学は、派遣社員と派遣先企業のより良いマッチングを生むための貴重な機会です。一方で、気づかないうちに法律や指針に触れてしまうリスクも潜んでいます。

特に、職場見学の際に、派遣先企業が派遣社員に対して面接(人物評価や選考)をすることは特定目的行為(派遣特定行為)に該当します。特定行為とは、派遣社員の特定を目的とした行為のことです。

派遣特定行為は、労働者派遣法第26条で禁止されています。

労働者派遣(紹介予定派遣を除く。)の役務の提供を受けようとする者は、労働者派遣契約の締結に際し、当該労働者派遣契約に基づく労働者派遣に係る派遣労働者を特定することを目的とする行為をしないように努めなければならない。
引用:e-Gov法令検索『労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律

派遣社員との雇用関係は派遣会社にあるため、派遣先企業が派遣社員を特定する行為を行うと、派遣先企業と派遣社員の間にも雇用関係が成立すると判断され、労働者供給事業に該当してしまう可能性があるとして禁止されています。

主に、以下のような行為が該当します。

  • 事前面接を要請・実施する
  • 派遣社員に履歴書を送付させる
  • 派遣社員の年齢や性別を指定する
  • 業務遂行能力に関係のない質問をする

特定目的行為は「派遣先が講ずべき措置に関する指針」で禁止されており、抵触すると行政指導の対象となる他、企業名が公表される可能性もあります。

なお、厚生労働省の「イチから学ぶ労働者派遣法」では、実際の事例が紹介されています。

これによると、派遣社員からの苦情として「派遣先企業に職場見学に行ったら、派遣先企業の担当者に過去の職歴や経験を質問され、翌日に派遣会社から派遣契約の同意が得られなかったと連絡があった」との内容があり、特定行為と判断されました。

派遣先企業は、知らず知らずのうちに違反しないよう、十分な準備をして職場見学を実施することが重要です。

この章では、職場見学でやってはいけないことを解説します。スムーズな派遣社員の受け入れと後々のトラブル回避のため、職場見学で派遣先企業が注意すべき点を押さえておきましょう。

事前に履歴書の送付を求めない

職場見学前に、派遣会社に特定の派遣社員の履歴書の送付を求めることは、特定行為とみなされる可能性があるため注意が必要です。

一方で、業務に必要なスキルや資格取得を確かめるためだけのスキルシートについては、派遣社員の特定につながらないため、派遣会社に要求できます。

ただし、スキルシートに年齢や性別が書かれていると特定行為に該当してしまいます。

厚生労働省「イチから学ぶ労働者派遣法」の苦情事例から見る特定行為をみると、「派遣先に職場見学に行ったら、自分の年齢や性別が書かれたスキルシートが派遣先に渡されていた。」といった内容が記載されているため、注意しましょう。

業務遂行能力に関係のない質問をしない

職場見学では過去の職場を退職した理由や自社を選んだ理由など、業務遂行能力に関係のない質問をしないようにしましょう。

これらの質問をすると、特定行為とみなされる可能性があります。

個人情報に関する質問をしない

年齢や居住地、家族構成、世帯年収、学歴といった個人情報に関する質問も、特定行為である面接とみなされる可能性があるため控えましょう

距離を縮めようと何気なく質問してしまう恐れもあるため、細心の注意を払う必要があります。

採用の決定権があると捉えられる発言はしない

採用の決定権をもっていると捉えられる発言も、特定目的行為である選考を連想させる可能性があるため避けましょう

選考されていると思われるような発言は、以下のとおりです。

NG発言例
・他に何名か見学に来られる方がいます
・今回は○名採用予定なんですよ
・あなたにお仕事を依頼しようと思います
・他の候補者の職場見学が終わったあとに採用の合否を連絡いたします

不明確な情報を伝えない

職場見学では、派遣先企業は派遣社員からの質問に対して、明確かつ正確な情報を伝えるように心がけることも重要です。

給与や休日、福利厚生など、労働条件に関する質問には特に注意が必要です。曖昧な回答をして後から覆すことがあれば、派遣社員の不信感を招きやすくなります。

もし、その場で回答できない質問をされた場合は、「申し訳ありません、その内容については社内で確認する必要がございます。後ほどあらためてご連絡いたします」と正直に伝えましょう。

特定目的行為については、以下の記事でも詳しく解説しています。

職場見学前に確認すべき10個の準備チェックリスト

職場見学が初めての場合、準備不足で「必要な情報が伝えられなかった」「確認すべき点を見落としていた」という事態が起こりがちです。

そのため、以下のような形で、必要な準備をまとめたチェックリストを用意することをおすすめします。

職場見学準備チェックリスト

上記はチェックリストの一例です。不安な方はこのようなチェックリストを作成して職場見学に臨むとよいでしょう。

職場見学に関するよくある質問

職場見学に関して、派遣先企業からはさまざまな疑問が聞かれます。

この章では、よくある質問と回答を紹介します。スムーズな職場見学を実施するためのポイントをまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。

職場見学は必ず実施しなければいけないの?

職場見学は、派遣社員の意志に基づいて実施されます。そもそも派遣先企業のほうで実施を決められるわけではありません。

職場見学後、派遣社員に対して懸念がある場合は?

職場見学後、派遣社員に対して懸念点が出てきたら、派遣会社に速やかに相談しましょう。相談するときは、懸念点のみを伝えるのではなく、具体的な理由を添えるのがポイントです。

例えば、「クライアントとの会議や来客対応の機会も多いので、身だしなみが気になっている」「社内の人間と連携して行うことが多い業務なので、もしかしたら緊張していただけかもしれないが、コミュニケーションの部分に不安を感じている」といった具合です。

職場見学後、派遣先企業から受け入れを断ることはできる?

派遣先企業から派遣社員の受け入れを断ることは原則できません。派遣先企業が職場見学後に断りを入れた場合、職場見学が実質的に禁止されている「事前面接」に該当します。

受け入れに不安がある場合は、不安事由をなるべく明確にして派遣会社に伝えるに留めておきましょう。

職場見学後、派遣社員に採用の可否を直接伝えても良い?

職場見学後、派遣先企業から直接、派遣社員へ採用の合否を伝えることはできません。選考に直接関与するものとして、「特定目的行為」とみなされるためです。

派遣先企業の決定は派遣会社が行うため、派遣先企業は派遣社員の受け入れの準備を進めながら、派遣会社からの連絡を待つようにしましょう。

職場見学にかかる費用は誰が負担する?

職場見学の際にかかる費用は、基本的に派遣社員が派遣先企業までに行くための交通費のみです。

こちらについては明確な定めはありませんが、派遣社員自身もしくは派遣会社が負担する傾向にあります

まとめ

職場見学は、派遣社員と派遣先企業の双方にとって、より深く理解し合うための貴重な機会です。職場見学を通して、派遣社員は実際の職場の雰囲気や仕事内容を肌で感じ、就業前の不安を軽減できます。

ただし、職場見学では、法律や指針で禁止されている行為がいくつもあります

派遣先企業は職場見学を実施する前に理解を十分に深めるとともに、派遣会社や外部の専門家などにアドバイスを求め、不安な点を残さないことが重要です。

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