- 人材派遣の基本
【2026年法改正】求職者へのセクハラ・カスハラ対策の義務化とは?企業が直ちに講じるべき実務とリスク回避術
近年、企業におけるハラスメント対策はかつてないほどの転換期を迎えています。特に大きなパラダイムシフトとなっているのが、法改正等に伴う「求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止措置」の義務化、および社会問題化する「カスタマーハラスメント(カスハラ)に対する企業責任」の厳格化です。
もはやハラスメント対策は「社内の従業員同士」だけの問題ではありません。対象は「採用候補者」や「顧客・取引先」へと広がり、人事部門や現場のマネジメント層には、より立体的で隙のないコンプライアンス体制の構築が求められています。
本記事では、人材派遣会社として企業と求職者を結ぶビースタイル スマートキャリアの視点から、法改正の核心と、企業が直ちに講じるべき実務対応、そして「外部人材(派遣)の活用」がもたらすコンプライアンス上のメリットについて詳しく解説します。
目次
1. 企業に義務化された「求職者等へのセクハラ対策」と「カスハラ対策」の核心
まずは、企業が直面している新たな法的要件と社会的要請の全体像を正確に把握する必要があります。
求職者・インターン生に対するセクハラ防止措置の義務化
男女雇用機会均等法の指針改正により、これまで「自社の労働者」を中心と想定されていたセクハラ防止措置の対象が拡大されました。具体的には、就職活動中の学生、中途採用の求職者、インターンシップ生などに対するセクハラ防止が企業の義務として明確化されています。
採用活動においては、面接官(企業側)と求職者との間に明確な「権力勾配(パワーバランス)」が存在します。密室での面接や、リファレンスチェックを装った不適切なプライバシーへの介入、あるいはカジュアル面談と称した飲食の場などで、この権力勾配を背景としたハラスメントが法的な重大リスクとして認定されるようになっています。
急務となる「カスタマーハラスメント(カスハラ)」への企業責任
顧客や取引先からの暴言、不当な要求、SNSでの晒し行為といった「カスタマーハラスメント」に対しても、企業は労働者を守る義務(安全配慮義務)を負っています。
厚生労働省の指針でも、カスハラに対する方針の明確化や相談体制の整備が強く推奨されており、一部自治体では防止条例の制定も進んでいます。「お客様の言うことだから」「現場の担当者レベルでうまく処理してほしい」という従来の自己責任論はもはや通用せず、企業が組織として従業員を防波堤から守り抜く体制が不可欠です。
| 対策領域 | 対象者 | 企業が問われる法的・社会的責任 |
| 求職者等セクハラ | 採用候補者、学生、インターン生 | 均等法に基づく防止措置義務、損害賠償責任、企業ブランドの致命的失墜 |
| カスタマーハラスメント | 自社の労働者(派遣社員含む) | 労働契約法に基づく安全配慮義務違反、労災認定リスク、深刻な人材流出 |
2. 人事・現場部門が直ちに講じるべき「3つの実務対応」
では、企業は明日から具体的に何をすべきでしょうか。ここでは、制度の形骸化を防ぐための3つの実務ステップを解説します。
① トップメッセージの発信と基本方針の明文化
最初のステップは、経営トップの言葉で「いかなるハラスメントも許容しない」という基本方針を社内外に宣言することです。就業規則の改定はもちろんですが、採用サイトやコーポレートサイトに「求職者への適切な対応方針」や「カスハラに対する企業の毅然とした態度」を明記することが、トラブルを未然に防ぐ強力な抑止力となります。
② 採用・面接フローの抜本的見直し
求職者セクハラを防ぐためには、現場の面接官への教育が急務です。当社が人材支援を行う中で見えてきた「人事担当者が気づきにくいリスク」として、以下のようなケーススタディが挙げられます。
【ケーススタディ:無自覚なNG発言と環境リスク】
アイスブレイクのつもりで「ご結婚の予定は?」「お子さんは考えている?」と質問してしまうケースや、「リラックスして話そう」と夜の会食を伴うカジュアル面談を設定するケース。
企業側に悪意がなくても、権力勾配の下にある求職者は拒絶できず、深刻な心理的苦痛(セクハラ)として受け取られます。
【具体的な見直しアクション】
- 面接官に対するアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)研修の必須化。
- 密室での1対1面接を避け、オンライン面接を推奨(または複数名での面接を基本とする)。
- 「聞いてはいけない質問事項」をマニュアル化し、面接官全員に誓約させる。
③ 相談体制の整備と被害者ケア体制の構築
カスハラ対策においては「現場に我慢させない」仕組みが必要です。従業員(派遣スタッフを含む)が理不尽なクレームを受けた際、即座に上司や専門部署へエスカレーションできる明確なフローを構築します。事後のメンタルケア体制を整えることも、安全配慮義務を果たす上で重要です。
3. 要注意:派遣社員を受け入れる「派遣先企業」が負うハラスメント責任
ここで、外部人材を活用する企業が陥りがちな重大な盲点について指摘します。それは、「派遣社員に対しても、派遣先企業は直接雇用と同等のハラスメント防止責任と安全配慮義務を負う」という事実です。
派遣先にも適用される「安全配慮義務」
「自社の直接雇用ではないから、派遣会社に任せておけばいい」という解釈は、法律上完全に誤りです。労働者派遣法および関連指針により、派遣先企業には派遣労働者に対するセクハラ・パワハラ・カスハラの防止措置を講じる義務が課せられています。業務中に派遣社員がカスハラ被害に遭い、派遣先が適切な対応を怠った場合、派遣先企業が損害賠償責任を問われるリスクがあります。
派遣元(派遣会社)との双方向の連携体制
優秀な人材ほど、就業先のコンプライアンス意識をシビアに評価します。特に当社がご支援する「スマートキャリア(高い専門性を持つ時短プロフェッショナル層)」の皆様は、理不尽なハラスメント環境を強く敬遠します。
ハラスメント事案の兆候があった際、派遣元と派遣先が「どちらの責任か」を押し付け合うのではなく、即座に情報共有を行い、共同で事実確認と環境改善に動ける「連携スキーム」を事前に構築しておくことが、結果的に自社の組織を守ることにつながります。
4. コンプライアンスリスクを最小化する「外部人材(派遣)活用」の優位性
ハラスメント対応の義務化は企業にとって負担に感じられるかもしれませんが、ここで視点を変えてみましょう。「コンプライアンスリスクを構造的に減らすためのソリューション」として、派遣会社の活用が極めて有効な選択肢となります。
直接採用に伴う「求職者対応リスク」の排除
自社で直接採用を行う場合、不特定多数の求職者と面接ややり取りを行う必要があり、そこに「求職者セクハラ」が発生するリスクが常に潜みます。
一方、派遣サービスを活用すれば、母集団形成から初期のスキル・適性確認までのプロセスをすべて「プロである派遣会社」が担います。自社の社員が無数の求職者と直接接触する機会が大幅に削減されるため、採用活動におけるハラスメントリスクを根本から抑え込むことが可能です。
プロフェッショナルによる事前の適性マッチング
ビースタイルスマートキャリアでは、単にスキルシートを右から左へ流すことはいたしません。事前に貴社の職場環境や社風、そしてカスハラ対策等の体制をヒアリングした上で、それに適応できるコンプライアンス意識の高いプロフェッショナル人材を厳選してマッチングします。
また、就業開始後も担当者が定期的にスタッフの状況をフォローアップするため、職場で小さなトラブルの芽(初期のカスハラ等)が発生した際も、深刻化する前に第三者の視点を入れて迅速に対処することが可能です。
組織のコンプライアンス体制をアップデートすることは防衛策ではなく優秀な人材を獲得し、定着させるために必須といえます。リスクを抱え込まず、プロの外部リソースを賢く活用することで、健全で生産性の高い組織づくりを実現してみてはいかがでしょうか。